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理学療法士の仕事


理学療法士は教育者

「理学療法士は教育者である」と思っています。
「教育」と言う言葉には、一般的にマイナスのイメージがあるようです。
それは恐らく、学校教育に対して良いイメージが抱けないことに理由があるように思います。

しかし、好き嫌いに関わらず、理学療法士には教育の機会が多いです。
今回はそれについて、述べてみたいと思います。


1.患者さん・ご家族に対する指導

僕たちの仕事は、患者さんへの治療に多くの時間を費やします。
そして、ご家族に対しても、介助法や関わり方、住宅改修など
様々な機会に教育・指導しています。

患者さんへの治療効果は、患者さんにとっていかに「学習」していただくかです。
歩行や筋力、様々な動作、全て、患者さんは学習した成果です。
僕たちの仕事は、患者さんが学習しやすいように援助していくことです。

その為には、教育者とての指導力が求められます。
只、一方的にこちらが「治す」のではないのです。
お互いに信頼関係を築き、上手な教育・指導により、良い学習が出来るのだと思います。


2.臨床実習指導者としての教育

理学療法士になる過程で必ず、臨床実習をみんなが経験します。
そして、多くの理学療法士が数年後に、自分の後輩達(学生)を指導します。
臨床実習指導者として。

臨床実習指導の方法についての研修が、最近は行われるようになってきました。
しかし、参加者を集めるのは大変みたいです。
お世辞にも熱心とは言えない状況です。

多くの理学療法士が、経験で指導しているのが実際ではないかと思います。
これには多くの問題が含まれています。
「人は教えられたように、人に教える」
厳しい指導を受けた学生が厳しい指導者に、甘い指導を受けた学生は甘い指導者に。
そんな傾向があるようです。

指導者としてのスタイルがないので、自分が受けた経験を手本にするしかないからです。
これでは、何が良い教育なのか分かりませんよね。
忙しい業務の中で、どのような臨床実習指導が良いのか?
今はまだまだ過渡期なのでしょう。


3.講師としての教育

理学療法士をしていると、地域の保健事業や学校、施設内など
様々な機会に講演を依頼されることがあります。
一般的には、このような機会には、
多数の対象者を相手に、口演の形で行われることが多いように思います。

この学習スタイルには講師には、ある程度の教育手法が必要です。
講義を行うにはいくつかの決まり事があります。
しかし、これが出来ていない講演は多数あります。

何故か?
講義をする方は、その分野に関してはプロかも知れませんが、
教育者としてはアマチュアだからです。
これは日本の大学教育がダメだと言われる理由の一つだと思います。
講義を依頼されたら、話す内容をまとめることは当然ですが、
どのような方法が学習者にとって、分かり易いのかを考える事が大事です。


4.後輩に対する教育

職場に勤めていれば、後輩が入ってくることがあるでしょう。
先輩が後輩を教育するのは当然の事です。
理学療法士は職人気質な部分があるので、見て学ぶ事も必要です。

しかし、今の時代にそれだけでは通用しないでしょう。
後輩に対して、自分の経験を話すにしても、その裏付けや方法が必要です。
一番大事なことは、後輩の模範となることですが、余り堅苦しいのも疲れるし、
余計なプレッシャーを与えかねません。難しい・・・。

しかし、人に教えることで、自分の知識・技術の整理が出来ます。
又、後輩が出来ることで、責任能力・指導力はレベルアップします。
後輩を持てる事は幸せなことです。


まとめ

理学療法士は意外と教育の機会が多いです。
それなのに、教育手法に対する学習の機会はほとんどありません。
教育学・心理学の手法をもっと生かせると、良い理学療法を展開できると思うのですが。
より良い教育は、「学習者にどれだけのことを学ばせるかが出来たか」です。

教育と子育てにはとても共通点が多いように思います。
(子育ても教育だから当たり前ですが)

親になるから、子育てが出来るようになるわけではありません。
子供を育てていく経験の中で、親としての能力が備わってくるのです。
(親が子供に教育されているとも言えますね(^^)v)

教育も同じです。
教育者としての能力が備わったから、教育が出来るようになるわけではありません。
教育する経験から、教育者に必要な能力が備わるのだと思います。
勿論、ただ経験するだけでなく、教育に必要な勉強は必要ですけどね!

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