理学療法士のウェブライフ > 臨床実習 > 臨床と実習のギャップ
理学療法士の臨床実習
臨床と実習のギャップ
『理学療法士の臨床での評価』と『学生の評価』ではギャップが存在します。
なぜ、そのような事になるのか?
これについて述べたいと思います。
臨床では、ADLや姿勢・基本動作の観察・分析から大まかな問題点を捉えて、
その上で細かな検査・測定を実施する方法(いわゆる、top-down)が一般的です。
これは「効率良く、問題点が捉えられること」、「すぐに治療・訓練に入る必要性」、
「時間の制約」等が主な要因と思われます。
top-downは目の前にいるケースを過去の類似症例に照らし合わせることで、
何処に問題があるかの見当をつけることで可能となります。
学生の評価では、一つ一つの検査・測定項目を実施して問題点を捉える方法
(いわゆる、bottom-up)が一般的です。
これは「経験がない為にtop-downの見方が出来ないこと」、
「一つ一つの検査・測定により問題点を見逃すことを防ぐこと」等が、主な要因と思われます。
臨床では「top-down」、学生の評価は「bottom-up」が中心になりやすい為に
問題点を捉えるときにギャップが生じやすいようです。
さて、臨床実習に行った学生がこのギャップを埋めるためにはどうすれば良いのでしょうか?
理想的には、ADLや姿勢・基本動作の観察・分析から大まかな問題点を予想(top-down)し、
その上で細かな評価を実施する方法(top-down)が望ましいです。
しかし、これには最も難しい動作分析の能力が必要です。
そして、前述の通り経験不足の為に過去の症例との照らし合わせも出来ません。
top-downは早い時期に身につける必要がありますが、初期には困難なのが実状です。
現実的にはレポートを書く必要もあり、一つ一つの検査項目を実施するのが妥当なようです。
大事なことはそのデータが正常値と異なるから問題とするのではなく、
そのデータをADL、姿勢・基本動作が困難となっている原因として生かすことです。
臨床と学生評価のギャップを減らすには、
『handicap(社会的不利)、ADL・基本動作の困難(能力障害)、
検査測定から得たデータ(機能障害)をどのように結びつけるか』がポイントです。
【top-down(トップダウン)過程】
A.top-down過程の流れ
1.患者の全体像(ADL、姿勢・基本動作など)を捉える。
2.全体像から問題点を予測し、必要な検査項目を実施する。
3.問題点を把握する。
B.top-downの利点
○効率が良い。
C.top-downの欠点
○経験の積み重ねが必要とされる。
【bottom-up(ボトムアップ)過程】
A.bottom-up過程の流れ
1.必要と思われる検査項目を全て実施する。
2.全ての検査項目の結果から全体像を把握する。
3.問題点を把握する。
B.bottom-upの利点
○初心者が行う時に導入しやすい。
C.bottom-upの欠点
○モザイク的に評価する為、全体像がぼやけて把握しにくい。効率が悪い。
☆前のページへ ← / ☆次のページへ →
☆このページのトップへ ↑