『理学療法士の臨床での評価』と『学生の評価』ではギャップが存在します。
なぜ、そのような事になるのか?これについて述べたいと思います。
臨床では、ADLや姿勢・基本動作の観察・分析から大まかな問題点を捉えて、
その上で細かな検査・測定を実施する方法(いわゆるtop-down)が一般的です。
これは「効率良く、問題点が捉えられること」「即日に治療・訓練に入る必要性」
「時間の制約」等が主な要因と思われます。
top-downは目の前にいるケースを過去の類似症例に照らし合わせることで、
何処に問題があるかの見当をつけることで可能となります。
学生の評価では、一つ一つの検査・測定項目を実施して問題点を捉える方法
(いわゆるbottom-up)が一般的です。
これは「経験がない為にtop-downの見方が出来ないこと」
「一つ一つの検査・測定を実施することにより問題点を見逃すことを防ぐこと」等が
主な要因と思われます。
臨床では「top-down」、学生の評価は「bottom-up」が中心になりやすい為に
問題点を捉えるときにギャップが生じやすいようです。
さて、臨床実習に行った学生がこのギャップを埋めるためにはどうすれば良いのでしょうか?
理想的には、やはりADLや姿勢・基本動作の観察・分析から大まかな問題点を予想し、
その上で細かな評価を実施する方法(top-down)が望ましいです。
しかし、これには最も難しい動作分析の能力が必要です。
そして、前述の通り経験不足の為に過去の症例との照らし合わせも出来ません。
なるべく早い時期に身につける必要がありますが、初期には困難なのが実状です。
現実的にはレポートを書く必要もあり、一つ一つの検査項目を実施するのが妥当なようです。
大事なことはそのデータが正常値と異なるから問題とするのではなく、
そのデータをADL、姿勢・基本動作が困難となっている原因として生かすことです。
臨床と学生評価のギャップを減らすには
『ADL・基本動作の困難(能力障害)と検査測定から得たデータ(機能障害)を
どのように結びつけるかがポイントです。』
※勿論、handicap(社会的不利)とも結べ付ける必要がありますけど・・・